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裏山

裏山

★これも昨秋の「二人展」に並べた作品だ。以前二科展に出品していたときにも同じテーマの作品をつくったことがあるが、今回はそのリメイク作である。

★画材は主にホームセンターなどで買った塗料である。画面に盛り上げ部分をつくるために木工ボンド、暗い感じの艶を出すのはラックニス、その他、水性塗料、色を弾かせるロウ、等々を使って奥深い山林の雰囲気を象徴的に表現したつもりなのだが、なかなか思うようにはいかなかった。

★私が少年時代を過ごした南飛騨は山しかないのだが、その空気が忘れられない。私の家は山の中腹のようなところにあったので、しょっちゅう山の中の道を歩き回った。山々はそれぞれに異なった人が持っている山なのだろうけど、山と山、尾根と尾根はしっかりと山道で繋がっていて、山道づたいに隣の部落、その向こうの部落、何処へでも下りて行ける道があった。山の中の道は樹の枝や草むらの騒ぐ音が恐ろしかったが、家並みが見下ろせるような所にさしかかるとホッとしたものだ。
登り下りの道は概ね谷沿いにあり、横道は概ね傾斜の緩やかな地面を選ぶようにして続いていた。

★山道では炭焼き小屋に行く人、間伐の作業をする人、木材を満載したキンマ(木馬)を引いて山を下りていく人、栗を拾いに来た人、さまざまな大人とこの山道で出会った。山々を縦横する道は麓を走る県道にも勝って山国の人々の生活感があった。でも、山に入っている人々は陽が傾きかけると急いで山を下りた。漆黒の暗闇しかない山の中の恐ろしさを誰もが知っていて急いで下りた。

★夜が更けると山の奥から、鳥の声なのか、キツネかタヌキなど獣の声なのか、それとも風が創る音なのか、言葉では説明出来ない音がよく聞こえた。
私が私なりに抱く自然界への畏怖の感情や畏敬の念は子供の頃の裏山体験に起因するのかもしれない。

★現在はもう飛騨に家も家族も無いが、一年に1~2回墓参に訪れる。でも、あの頃の山道は草で覆われていて何処が登り口だったかさえ全く分からない。
あの頃の裏山の光景、なんか未知の空間に入ったようで怖くて恐ろしいのだが、神々しく澄んだ空気が満ちている空間、そんな山の自然光景のイメージがこの作品である。

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