理想と現実

理想と現実
★仕事の合間に、以前やっていた役所での作品を整理をしていたら、面白いのが出てきた。まだイラストレーターを扱えなかった最初の頃のヤツだ。その頃は、ペンで下絵を描き、スキャナでとってからフォトショップで色を埋め込んでいくという、まことに面倒な方法でやっていた。あまりの手間食いに困ってしまって、その後、イラストレーターを必死で覚えた。
この絵が多分、その面倒な方法での最後の絵だったと思う。

★この絵には、ある裏話がある。
以前、私の町の下流のある某町が河川敷の自然を捲り取ってしまって赤土風景にしてしまった事を書いたが、私の町のボスはちょっと違う。
ある日、ボスの部屋に呼ばれてこんな依頼を受けた『玉さん、町の東端の河川敷を自然公園にしたいのだが、完成予想図を描いてくれ』と言うのだ。その内容を聞くと、『ところどころに木曽川の水を引いて池をつくる、そこに毎年渡り鳥が羽を休めにやってくる、近くに野鳥観察の小屋も造る、そして、池には木橋を渡し、散策道も縦横に設置して子どもたちが遊ぶ。そういう河川敷自然公園にしたいんだ…』と、どこか遠い山を見つめるような表情で言うのだ。私が、『ホントにそんなものが出来るのですか?』と聞くと、これまでの理想を追う表情とは一転し、『それは分からん』と言う。ありゃ?!、と思い、さらに聞くと、その自然公園づくりのための助成金か補助金かを県や国の関係機関に申請するにあたって、完成予想図の絵を添付するので描いてほしいと言うことだった。
その時に言ったボスの考えが私は気に入ったので、今でも印象に残っている。

★ボス曰く『何か新しい事を為すために、いくら立派な計画を文書に書き連ねても、全国から山ほど集まってくる申請書を、役人はいちいち熟読しない、絵なら事業の全容が一目瞭然だ、絵で眼を惹きつけてから文書を読ませるのだ。』と、なるほど!。

★それから数年後、私はまだ、そこに行っていないが、この完成予想図のようなわけにはいかなかったものの、それでも、その茫々たる河川敷だったところに、散策道が出来て自然観察の親子が訪れているらしい。
もしかしたら、この計画は、最低でも、この程度には落ち着くだろうと、ボスは承知していたのかもしれない。
理想と現実を読み切ったボスの仕業ではあった。

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