
◆元絵は切り絵です。今夏、最後の花火ネタです。
◆夏休み中に親戚から貰ったり、買ってきたりした花火セットがまだ残っているのでしょうか、中三の彼らは手に手に花火セットの入ったビニール袋をぶら下げて集まりました。
◆でも、セットの中にあった〈ドカーン!〉と高く打ち上がる派手な花火やところ構わず〈シャシャシャー!〉とはい回るユニークな花火は、もうとっくにやってしまってセットに残っていません。この時期まで残っているのは、昔ながらの古典的で地味な花火ばかりです。そんな花火を片付けにやってきたのでしょうか。
◆近所のみんな知っている子ばかりですが、どうも、この子たち、ついこの前までの元気がありません。口数も少ないのです。ときどき大きく光る花火に『オッー』という声と笑顔が見えるだけです。この前、ここで大はしゃぎで花火に興じてしたコイツらとは大違いです。奇声も上げず、水をはったバケツもちゃんと近くに用意して花火マナーも完璧です。
◆1時間ほど、ボソボソ話しながら花火をやっていたでしょうか、最後に、一人一人が小さな線香花火を持って同時に火をつけました。4人の花火の火玉が完全に消えると、4人は拍手をしました。〈さあ、これで夏休みは終わったぞ〉という拍手でしょうか。そうです、こちらの中学は二期制で、明日から後期の始まりです。
◆『バイバイ』とか言いながら、それぞれに帰っていく彼らは、まるであの映画《スタンド・バイ・ミー》の最後の帰宅場面さながらの後ろ姿でした。
◆こいつら、この夏、また大人になった、と思ったのです。
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