初蝉

初蝉

★今回の大雨は未曾有の被害の爪痕を全国各地に残した。我が岐阜県も驚くほど激しい雨が間断なく続いた。特に私の郷里である南飛騨地方は大雨、洪水、崖崩れ等々の警報が相次ぎ大きな被害を被ったようだ。昔の友人やそのご家族、町の人々の無事を祈るばかりである。私の街もここ数日ずっと大雨警報が止まなかった。皆さんの地方も大変な激雨の毎日であっただろうと推察する。

★ようやく今朝青空が戻った。朝風を入れて湿気を飛ばそうと二階のアトリエの窓を開けると、そこの網戸にセミがしがみついていた。多分雨が止んだ早朝、殻を破って必死にここまで上がって来たのだろう。体もまだ半透明で羽も柔らかく薄いことからも殻抜け間もないことがうかがえる。
そういえば、今年初めて目にするセミである。

裏山

裏山

★これも昨秋の「二人展」に並べた作品だ。以前二科展に出品していたときにも同じテーマの作品をつくったことがあるが、今回はそのリメイク作である。

★画材は主にホームセンターなどで買った塗料である。画面に盛り上げ部分をつくるために木工ボンド、暗い感じの艶を出すのはラックニス、その他、水性塗料、色を弾かせるロウ、等々を使って奥深い山林の雰囲気を象徴的に表現したつもりなのだが、なかなか思うようにはいかなかった。

★私が少年時代を過ごした南飛騨は山しかないのだが、その空気が忘れられない。私の家は山の中腹のようなところにあったので、しょっちゅう山の中の道を歩き回った。山々はそれぞれに異なった人が持っている山なのだろうけど、山と山、尾根と尾根はしっかりと山道で繋がっていて、山道づたいに隣の部落、その向こうの部落、何処へでも下りて行ける道があった。山の中の道は樹の枝や草むらの騒ぐ音が恐ろしかったが、家並みが見下ろせるような所にさしかかるとホッとしたものだ。
登り下りの道は概ね谷沿いにあり、横道は概ね傾斜の緩やかな地面を選ぶようにして続いていた。

★山道では炭焼き小屋に行く人、間伐の作業をする人、木材を満載したキンマ(木馬)を引いて山を下りていく人、栗を拾いに来た人、さまざまな大人とこの山道で出会った。山々を縦横する道は麓を走る県道にも勝って山国の人々の生活感があった。でも、山に入っている人々は陽が傾きかけると急いで山を下りた。漆黒の暗闇しかない山の中の恐ろしさを誰もが知っていて急いで下りた。

★夜が更けると山の奥から、鳥の声なのか、キツネかタヌキなど獣の声なのか、それとも風が創る音なのか、言葉では説明出来ない音がよく聞こえた。
私が私なりに抱く自然界への畏怖の感情や畏敬の念は子供の頃の裏山体験に起因するのかもしれない。

★現在はもう飛騨に家も家族も無いが、一年に1~2回墓参に訪れる。でも、あの頃の山道は草で覆われていて何処が登り口だったかさえ全く分からない。
あの頃の裏山の光景、なんか未知の空間に入ったようで怖くて恐ろしいのだが、神々しく澄んだ空気が満ちている空間、そんな山の自然光景のイメージがこの作品である。

チョッと喫茶店バッグNO.7

チョッと喫茶店バッグNO.7

★先にも書いたが今冬の寒さは格別だった。ここ数十年「暖冬」が続き気象状況の異常が指摘されてきたが、久しぶりに「寒い冬」という当たり前を実感した今冬だった。

★そんなわけで、この冬の私はひたすらコタツとストーブのお守りをしながら家の中に引き籠もっていたのだが、おかげで好きな革細工にじっくり取り組めた。
「チョッと喫茶店バッグNO.7」をつくった。これまで見ていただいた№1~№6はいずれも通常の手提げバッグ同様に物を横に格納する仕様だったので、ペンや小銭入れなどの小物が財布や手帳の下の埋もれてしまって取り出すのに一苦労した。そこで、今作は手帳、新書版の本、ペン、財布等々を縦入れ仕様にした。だから、外形デザインが少々縦長っぽい感じになったが、これまでのなかでは最も使い勝手が良く気に入っている。

★既にこれを持って何回も方々へ行ったが、『おっ、手作りの新作?!』と、友人たちが見てくれる。
さて、今度はどんなデザインのバッグを作ろうか…。

早いサクラ

早いサクラ

★今年の冬の寒さは特に厳しかった。老体はただ家にすくんでジッとして春の訪れを待つしかなかった。ところがどうだ!厳冬の冬から一気に気温が上昇し、いつもの年より10日以上早いサクラの満開になってしまった。この写真はそろそろ散り始めのサクラである。今年は早咲きすぎて沿道に屋台の店が一軒も出ていないから、カヤカヤとした喧噪もなくサクラが一層美しく清らかに見える。

★私の町は4月1日から「桜まつり」が始まるのだが「葉桜まつり」になりそうだ。ま、それもいいか。事程左様のサクラを迎える準備が全く出来ていないのにサクラはまもなく北へ旅立つ。

何はともあれ、春がきた、嬉しい!

2018・賀状さまざま

2018・賀状さまざま

★今朝、近くの神社の左義長に行き、玄関のしめ縄飾りや仏壇の正月花などを焚いてきたところだ。これで今年の正月も終わりのはずなのに、まだ正月気分の抜けないこんな記事をアップして恥ずかしい限りだ。

★今年も美しい賀状をたくさんいただいた。最近はネット上に多種多様なイラストがあり自分の好きなように使うことが出来るが、やっぱり自分でつくったイラストや写真はどことなく力がある。そんな賀状の中から幾つかを見ていただきたい。

★いただいた賀状を見ながら「来年はイノシシか…」と、頭のどこかで来年の賀状のイラストを考えている。最近は一年後がすぐ来てしまう…

切り絵 「漁港晩夏」

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★先の「二人展」に並べた切り絵です。「漁港晩夏」と題しました。

★私はこれまで、北陸地方を中心とした日本海側や主に三重県の太平洋側にある名前も知らない小さな漁港を幾つ巡ったか分かりません。繋留されて波に揺れる大小さまざまな漁船群や船の上で明日の漁の準備をする人、傷んだ魚網を修理する人たち、等々、日本の漁村風景を私は大好きです。

★スケッチをしたり写真を撮ったりして、家に帰ってから水彩や油絵などの作品にしたことも度々あるのですが、なかなか思うような作品に仕上がったことはありません。

★この切り絵作品は少し視点を変えて昼の漁港独特の静かさを表現しました。
早朝から次々に漁から戻ってきた漁船、威勢のいいかけ声が響く市場の喧噪、あんなに騒がしかった朝が嘘のような午後の漁港、漁船群が軋みあう音と波の音だけが聞こえて辺りがシーンと静まりかえっている。私が感じたそんな漁港での寂寥感を表現しようとした切り絵作品です。

第17回 二人展、ことしも開催できた!

第17回 二人展、ことしも開催できた!

★先の日曜日(26日)、第17回「二人展」を終えた。「せきまちかどギャラリー」に作品を架け始めてからもう17年も経ってしまった。ギャラリー周辺に住まいする方々をみても当時赤ちゃんだった子がひげ面の若者になっているし、いつも口笛を吹きながら颯爽と自転車を乗り回していたギャラリーの大家さんご主人は数年前に逝かれた。隔世の感しきりである。毎年作品を並べている自分たちも来館者からみれば『スッゲー年を食ったな~!』と見られているに違いない。ただ、日々つくる作品だけは出来るなら常に瑞々しく、我が肉体のように老けて崩れていかないように心がけねば、と常に思う。

★いつも思うことだが、公募展に出品していたときでは決して味わえなかった出品者の喜びがこの市井に埋もれたような小さなギャラリーにはある。少々失礼な話だが寂れた地方都市の一角、歩道を行き来するその街に住まいする人々、普段着のまま「寒い!寒い!」と言いながらギャラリーに飛び込んできてくれる来館に人たち、このギャラリーにしかない出品者と観覧者の近すぎるほどの近さがある。他のギャラリーなら顰蹙をかうのだが、ここではお茶をのみダンゴを頬ばりながら、自由に作品観を話し合う騒がしさが許される。

★今年も50年前、小学校4年生だった彼女たちが遠路来てくれた。もう還暦に近い年だと思うが毎年中央アルプスや北アルプスの峰々を制覇しているらしい。50年前のギャングエイジ時代と変わらぬ自由と元気を持ち続けているように見えて頼もしい。もう数年前のことだが、この「二人展」のことを偶然知った50年前のKさんが訪れて来てくれたことが希有な再会の始まりだった。以来年ごとに言づてで当時の子?たちが次々に来てくれる。50年経てもなお若々しいこの子たちを見て、まだまだ老いぼれてはイカン!と自分に言い聞かせる私である。コツコツと作品をつくり地道に作品展をしていると、思いがけないさまざまな出会いに遭遇し、人の世の不思議を感じ、胸が熱くなり、エネルギーになる。昔の私は、自分の作品の出来不出来にだけこだわっていたのだが、今は作品を並べた会場で起きる未知のドラマとの出会いを楽しみにしていることが面白い。

★さて、私の作品の方だが、ずっとCGを中心とした作品を並べてきたが今展には切り絵と水性塗料による啓発ポスターも加えた。CGとは正反対の超アナログな手法だ。追ってその作品数点もここでみていただきたい。

今年も二男のスネをかじる旅

今年も二男のスネをかじる旅

★久しぶりのアップだ。先回の記事を見てみたらサクラ満開の記事だったが、もう季節は晩秋だ。以前はこまめに更新をしていたこのブログもいつの間にか一年に数回の更新になった。年を取ると全てが億劫になってしまう。イカン、いかん…
が、今年も我が家のうれしい秋の恒例行事を東京の二男が持ってきてくれた。

★今秋は遅めの台風が二週続いたのだが、二男が帰省した次の日から台風一過の晴天に恵まれ2泊3日旅行に連れて行ってくれた。毎回『何処へ行きたい?』と聞いてくれるのだが、私たちは二男の運転と財布で旅に連れて行ってくれるだけ十分楽しいのだ。ただ「疲れない適当な距離」「海中心」「眺望よく食事の美味いホテル」という私たちの勝手な条件で二男がいろいろとコースをつくってくれた。というわけで今年は昨年サミット開催で何かと話題になった三重県賢島を起点に周辺の海を観光する旅になった。

★初日の宿は賢島の「宝生苑」とてつもなくでっかいホテルだが、サミットのときには安倍首相夫妻が宿泊し、先進国首脳会議、議長国安倍首相記者会見等々の会場になったホテルだそうだ。
眺望も、食事も、温泉も申し分なく素敵だったが、浴場前の椅子に座って家内が出てくるのを待つ間に近くにいたホテルの従業員さんのこんな話がとても印象に残った。
『サミットのときは、その数週間前から全国各県の警備の警察官が滞在し、ホテル内外を厳しい顔をして忙しく立ち回っていた。このホテル浴場の近くにはいつも北海道警の方が詰めていて、いつの間にか従業員と声を掛け合うようになり、いつもの皆さんの厳しい顔が笑顔になった。お互いの故郷の話もしたりした。サミットが終わって皆さんと別れるときはとても寂しかったですよ…』と。

★三重の海は過去、現役時代の職場旅行でも、二男の財布旅行でも、何回も来ているのだが、グリグリと入り込んだリアス式海岸の眺望は千変万化だ。また行く先々に雰囲気の異なる漁港があり、漁船が並び、網を繕う漁師の姿がある。三重のリアス式海岸の彼方此方を見尽くしてしまうことは到底出来ない、まだ見ぬ三重の海の風景への期待はまだまだある。

★二日目は岬に突端にあるホテル「いじか荘」だったが、このホテルは石鏡灯台(いじかとうだい)とくっついている珍しい造りだった。後で知ったのだが旅マニアの間では広く知られたホテルらしい。部屋は南側と東側に海が開ける角部屋に泊まれた。昨日の海は小島が転々として彼方此方にイカダの浮かぶ生活の内海だったが、今日の海は見はるかす外国航路の船が通る外海だった。それぞれの場所で見せる海の表情の極端な違いは本当に凄い。

★ところでこの写真、殆どが二男のスマホで撮ったものだが、実は撮影の途中で私のコンデジのピントが合わなくなった。どう操作してもダメだった。もう十数年使っていたから、よくここまで使えたものだと思うべきか…
で、早速だが、帰ってから二男に新しいコンデジを買ってもらうことにした。

★というわけで、今年もハイエナ両親のためにさんざん散財させられて、二男は東京に帰った。

ゆくサクラ

ゆくサクラ

★きのう今春最後の花見をした。この辺りは一昨日からずっと強風が続いていて私たちはサクラ吹雪の中を歩いた。この時期にしては少々冷たい強風だったが、その肌寒さがゆくサクラへの感慨を一層募らせた。

★強風が花びらを剥がして川面に運ぶ、ひっきりなしに水面を流れる花筏をエサと間違えたのか、あるいは花筏の水面に興奮したのか、鯉が浅瀬で暴れている。サクラはそのゆき際のギリギリまで、何かを見せてくれる。

★今春のこの地方のサクラは入学進級の6日~7日に晴天のなか満開を迎えた。その後低温の日が続いたためにしばらく堤防は満開のサクラが続いた。そして昨日のすごい花吹雪、申し分のない今春のサクラだった。

外で冬越しが出来るか、月下美人

外で冬越しが出来るか、月下美人

★これは数日前の写真だが、今冬はこの辺りに二度も雪が来た。例年にない寒さの日が続いているので、もしかしたら失敗するかもしれないが、私は今冬試していることがある。それは「月下美人」の鉢を外で冬越しさせるということだ。

★毎年、真夏の深夜に妖しく咲き誇る彼女の美しい姿をこのブログにもアップしてきた。
元来、彼女はメキシコなどの亜熱帯地方が原産であるサボテンの仲間なので、四季のある日本では冬の間は家の中に避難させて寒枯れを防がなければならない。私のところでもそうしているのだが、毎年挿し葉をしていたら鉢が増え過ぎてしまって、冬期間の彼女の避難場所の確保が難しくなってきた。ちょうどそんな時、日本でも暖かい地方では冬でも外に出しっぱなしにしている所もあると聞いた。どうも私の居住地辺りは彼女が外で冬を越すことが出来るか出来ないかのボーダーラインらしい。
そんなわけで、我が家では今冬「月下美人」の幾鉢かを外で過ごさせることにした。
もちろん、寒枯れで全滅した場合も考慮し、昨年夏のうちに多くの差し葉をして子孫は残している。

★昨年の12月、彼女に直接冷たい冬雨や雪がかからないように大きな透明シートで周囲を養生した。さて、もうすぐ冬も終わるがどうだろうか?、上部の大きな葉は寒枯れているが、下部の小さな葉は鮮やかな緑を保ちながら頑張っているようにも見える。
鉢たちが蘇るか、このまま萎れてしまうか3月頃には結果がでる。

★が、『鉢の植物が冬越し出来るかどうかを心配している場合か!老体のお前がチャンと冬越し出来るかを考えろ!』と、どこからか聞こえてくる。たしかにそうかも…。

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